風の歌を聴け村上 春樹 / 講談社 スコア選択: ★★★★ メジャー過ぎてちょっと触れるのが恥ずかしい作家、村上春樹氏のデビュー作、風。 「僕」と「鼠」と「指が6本ある女の子」の3人の一夏の物語。 よく出来た三角関係。その実態はエディプスコンプレックス。明治時代から使われてきた手法、でも現代版に巧く活用させてあり、読ませる、面白い。 ダライ・ラマ自伝ダライラマ The Dalai Lama of Tibet 山際 素男 / 文芸春秋 スコア選択: ★★★★ チベット問題もようやく日本で注目されるようになりました(もの凄い微妙なんだろうけれど)。 チベットといえばそう、ダライラマ法王。 彼は所謂(堅物の)宗教指導者ではなく(もちろん仏教論理はしっかり習得されてますが)、気さくな人柄で愛されています。この本はそんな彼を知る手っ取り早い入門書。等身大のテンジン・ギャツォさんが描かれております。チベットに興味のある方は是非読んでみましょう。 本の運命井上 ひさし / 文芸春秋 スコア選択: ★★★★ 久方びりに井上ひさし氏の本を読んだ。 タイトルも本を愛する井上氏ならではの『本の運命』。 最近は活字離れが進んでいると言われているが、井上氏は暗い未来図を描いていないようなので安心した。 大作『吉里吉里人』でもそうだが、彼の小説・エッセー等は、読者の立場になって物事を非常に上手に(当たりまえですが)捉えているな、と唸らされるところがある。 エンターテインメントとしての文学で言ったら、この人の右に出る人はいないのではないか、ってほど。 にしても13万冊の蔵書ってすごいなぁ。 赤頭巾ちゃん気をつけて庄司 薫 / 中央公論新社 スコア選択: ★★★★ 庄司薫。現在彼の名を知る若い人はどれくらいいるだろうか。 1958年福田章ニの名(本名)で『喪失』により中央公論新人賞受賞。 それから文壇にほされ、10年間の沈黙を強いられる。そして長い沈黙を破って、 1969年『赤頭巾ちゃん気をつけて』を発表。同作品が芥川賞受賞。一気に注目を浴びる。 その後、薫くんシリーズとして、「白鳥の歌なんか聞こえない」「さよなら怪傑黒頭巾」「ぼくの大好きな青髭」の四部作を次々と発表。しかしその4部作を出した後は、再び沈黙を通している。 こうして大まかな年表を書いてみると、規模こそ違いますが、サリンジャーのような作家ですね。今は何をしているのだろうか・・。 僕は大学2年生の時に友人の紹介を受けて彼の著作を読んでみました。まずは普通に『赤頭巾ちゃん気をつけて』から。気付いたら1週間で「ぼくの~」まで読み終えてました。 いやはや、面白かったですねぇ。これらのシリーズの基本的な構造は、心優しい主人公である薫くんが属する高校3年生の身辺の小世界と、70年代の世界規模のべ平連運動、コミュニステック全盛のグローバルな地球規模の世界の狭間で奮闘する薫くんや小林くんらのようすを描いた作品です。我々の誰もが通過する「高校生である私」と「うっすら見え始めた社会という名の広大な世界」の間で悩むようすが克明に描かれていて賛同できました。 きっとこの小説は、21世紀の今もまだ色褪せていない。読まれて欲しい。
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